民事再生について

景気低迷が続くなか、2番底の危険性も取りざたされています。そのため企業の資金ショートの虞もでてきています。このような場合法的手段として、企業を潰してしまう清算型の破産や、事業の継続を目指す民事再生という手段があります。

この民事再生とは金融機関等の債権者の債権を一部カットしてもらい、裁判所の監督の下、事業継続しながら事業再生を行っていこうというものです。

企業が存続し、事業が継続されることは破産に比べて、好ましいことであり、従業員や債権者にとっても優位に働くものであると思います。
今まで民事再生事件を手がけてきて、破産ではなく民事再生を選択する際のポイントを挙げてみました。

@ 経営者の継続の意欲
 経営者が企業を存続させたいという意欲をもっていることが必要です。事業継続をするについて債権の一部カットを伴うことから債権者への説明や経費削減に伴うリストラ等で従業員への対応も必要になってきます。このようなことから経営者若しくは将来経営者になる方の活動が必要不可欠であり、存続の意欲を持っていることが大切です。
又、経営者だけで事業の継続が行えるものではなく、従業員の協力も必要です。

A 営業利益について
 事業を継続し再建していくなかで、再生債権について一定割合の弁済を行っていかなければなりません。たとえば7割カットしてもらい残り3割を10年間(年1回)で支払うなどの再生計画に従った弁済をしなければなりません。そのためには弁済資金の原資を生み出す本業において営業利益が出ていなければなりません。営業利益を出すために経費節減など行うことも必要です。また売上高が減少することもありますのでこれらを考慮し営業利益が出てくるかどうか検討しなければなりません。又このような状況に陥った原因の確認とそれの除去に努めることも必要です。将来的な見通しとして、産業自体が先細りで無いかどうかも検討する必要があるでしょう。

B 資金繰り
 民事再生手続きを申し立てると、従前の信用は落ちざるを得ません。そのため今まで掛売りや手形決算できていたものが、現金での取引を要求されるでしょう。信用取引が困難になると思わなければなりません。原材料等の供給が止まってしまえば、企業としての存続は不可能です。民事再生の申立により、一定期間経過すれば、再生債権が棚上げになるので、資金繰りも安定してくる思われますが、申立直後の当面の資金繰りが可能かどうかは事業継続に極めて重要なことです。

C 担保権等の有無
 事業継続をしていくにあたり、必要な財産に抵当権等の設定の有無を十分に検討しておかなければなりません。例えば工場等に抵当権が設定されており、競売にかけられてしまうと製品の製造拠点がなくなってしまい、事業の存続がたちまち困難になってしまいます。
このような場合抵当権者と別除権協定を結び、抵当権の実行を差し控えてもらうのですが,多額の金員が必要となり、そのため事業継続が困難になることもあります。事業継続に不可欠な工場等の資産が借地や借家である場合は、賃料を支払っていけば継続して借りることができるため、多額の金員が必要となる虞は少ないでしょう。

D スポンサーの有無
 スポンサー企業があれば、更に再生の可能性は高いといえるでしょう。様々な方法で資金面での協力が得られるのであれば、債務者単独での再生が困難でも、事業継続が可能と考えられます。


民事再生手続(法人)の流れについて

民事再生手続(法人):企業等の自力再建のための制度

【申立原因】申立てができる場合

@支払不能・債務超過発生のおそれがある場合or

A資金繰りが破綻してこのままでは事業継続ができない場合

【予納金】裁判所への予納金の目安

@負債総額が5000万円未満の場合; 200万円。

A負債総額が5000万円から1億円未満の場合;300万円。

B負債総額が1億円から5億円未満の場合; 400万円。

但し,再生事件の規模及び管轄裁判所等によって増減することもある。

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申立において、再生の可能性の有無の判断のため、10年間の収支予想表を作成する必要があります。従来から会社の経理をみていた税理士、公認会計士の協力が不可欠です。また民事再生は一般債権者の債権の大幅カットを求めるもので、免除してもらった債権額に応じて免除益が発生し、その分に付き、かなり高い税率で課税されます。その免除益課税の支払いが将来の経営を圧迫させることがあります。免除益を何年目に発生させるかも再生計画案で盛り込めることができ、従来の欠損を免除益に繰り込み、免除益を圧縮することも可能です。法人税との支払いを見ながら、公認会計士や税理士と協議し、将来の収支予想を立てていかなければなりません。

また本社ビルや工場等将来の経営継続に不可欠な不動産について、金融機関等の抵当権等が設定されている場合があり、抵当権の実行は再生手続きに関係なくできるため、それを避けるために不動産の価値に見合った金員を抵当権者に提供し、担保権の消滅の請求を裁判所に求めることも可能です。不動産鑑定士に頼み不動産の価値を把握しておく必要もあるでしょう。

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再生計画案の提出に先立ち経費削減等の努力をしなければ、債権者の賛同を得ることは困難になるでしょう。一般的な経費の削減以外にも経営者の報酬の削減、従業員のリストラも必要になることがあるでしょう。

従来から頼んでいた社会保険労務士等の協力を得ながら、スムーズにリストラをする必要があります。

尚再生債務者の営業として行政庁から何らかの営業にかかる許認可を得て活動している場合は、その許認可に悪影響が出ないよう、行政書士の助言も得ておきましょう。

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通常年に1度、再生計画案に従って、再生債権者への弁済が始まります。

又役員や商号の変更、場合により資本金の変更等が生じる場合があります。変更登記をする必要があり、司法書士に頼む必要があります。

再生手続の概略は以上のとおりですが、企業再建の見込みがなかったり、不正の目的をもって再生申立をしたと認められた場合などは、牽連破産といって、再生手続を廃止して、強制的に破産に移行させられることもあり得ます。再生手続を利用する場合は、誠実に対応することが肝要です。

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