土地の価格について

土地価格は一物五価

土地の価格は一物四価とも五価とも言われることがあります。

経済財でこのような性質を持っているのは土地だけだと思います。

普通の経済財、例えば電化製品は2価です。

希望小売価格と実際の販売価格です。電気製品を買う際に、希望小売価格と実際の売価は全く異なるでしょう。

ところが土地の価格には何と5種類もの価格が存在します。以下のとおりとなります。

@ 時価(実勢価格)

A 公示価格

B 基準地価

C 路線価

D 固定資産税の評価額

上記の基準地価を除き一物四価と表現することがありますが、基準地価も含め一物五価とも言います。それぞれの価格は使われ方が
違います。

このように不動産、特に土地価格はどれが本当なのか一般の方々は分かりにくくなっています。

@ の時価が本当の価格なのではないのかと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、この時価はどのようにしてきまるのでしょうか。

土地は一つとして同じものはありません。

人間の顔と同じようにそれぞれ個性を持っています。

この世に一つしかないものをどのように価格を決めるのかですが、一般の方々には難しい話になるのですが、近くに実際の取引があったとします。

しかしその取引は形状や規模、駅からの距離、道路の幅員 道路との高低差、用途地域、周辺の環境等々異なります。

その取引価格が8万円/uとしたら、時価を求めようとする土地も8万円/uになるのでしょうか。

いいえ、ならないケースの方が多いでしょう。地域による格差や、その土地の個性が異なるからです。ではどの程度の格差があるのかですが、人によって主観が異なったりします。

ですから、知識や経験が豊富な不動産鑑定士による鑑定評価によることが求められるのです

さほど厳密な精度を期待しなければ地元の不動産業者に聞けばおおよその時価がつかめます。

下記にそれぞれの価格の意味について説明します。

@時価(実勢価格)

その土地が実際に取引される価格のことを言います。
自分の所有している不動産を売却したい場合、まず参考になるのが不動産情報誌や新聞の折込広告です。

しかしこれは売主の売り希望価格ですので、実際は買主の値引き圧力で下げられる可能性があります。広告価格よりは高く売れないということは目安として判断できるでしょう。
次に地元の売買を行っている不動産業者に聞いてみることです。地元の業者でも回答に幅が出ることもありますが、中庸値あたりが時価と考えても大きくは狂わないと思います。ただし、ここで気を付けていただきたいのは土地の価格は買主が価値を認めた価格でしか売れないということです。売主の強い思い入れがその土地にあったとしてもあくまでも買主が認める実際売れる価格が時価ということです。

A公示価格

公示価格の調査は、地価公示法に基づき、国土交通省の土地鑑定委員会が全国的に都市計画区域内の標準地を選び、毎年1月1日現在の標準地について公表する正常な価格のことです。不動産の鑑定評価の専門家である二人の不動産鑑定士が各々別々に現地を調査し、最新の取引事例やその土地からの収益の見通しなどを分析して評価を行います。
この公示価格は、一般の土地取引の指標となり、公共事業用地取得価格の算定、相続税評価や固定資産税評価の目安として活用されています。毎年3月20日過ぎ頃に公表されています。

B基準地価

基準地価とは都道府県が国土利用計画法施行令に基づいて公表する毎年7月1日時点
土地価格です。1月1日時点における公示価格とともに土地取引の目安とされています。
公示地価が都市計画区域内を対象とするのに対し、基準地価では都市計画区域内及び
都市計画区域外の住宅地、商業地、工業地や、宅地ではない林地も含んでいます。
広報される土地価格情報では最も正常な価格であり、一般の土地取引の指標となります。
7月1日現在の価格が9月20日頃に各都道府県の公報で公告されます。市町村役場に備えて
ありますから、いつでも閲覧できます。

C路線価

路線価は相続税や贈与税を算定するため、課税の対象となる財産の評価方法として国税庁が定
めた価格です。税金を算定するための基準であるため、実勢価格より低く設定されているのが
普通です。毎年1月1日を評価時点として、地価公示価格、基準地価、売買実例価額及び
不動産鑑定士等の地価事情精通者の意見価格等をもとに算出され、主要道路に面した標準的な
宅地の1u当たりの評価額のことです。

毎年8月上旬に公表されます。8月上旬以降に税務署もしくはインターネット
で閲覧できます。路線価は平成4年8月から概ね公示価格の80%を目安に決められています。

D固定資産税評価額

固定資産税を支払う基礎となる価格です。固定資産税の課税主体である各市町村が決めます。
3年毎に1月1日時点の土地価格が基準として決定されています。
固定資産評価額は公示価格の70%が目安となっております。
ある特定の土地の固定資産評価額の目安を調べたい場合、路線価が分かれば、路線価は
公示価格の80%が目安となっていますので、公示価格が1とすれば路線価は0.8、固定資産
評価額は0.7の関係です。

また公示価格は1÷0.8=1.25で路線価の1.25倍が目安になるということが分かります。
結構便利な指標ですので覚えておくと役に立つことがあります。



適格合併の税務

合併についての税法の考え方

法人税法における会社合併に対する考え方は、合併により消滅する会社(以下合併消滅会社)から存続する会社(以下合併存続会社)への会社財産の譲渡と合併消滅会社の解散及び精算の組合せと考える。

合併消滅会社は合併存続会社に、時価で資産負債を合併存続会社へ譲渡し、その対価として合併存続会社から、合併存続会社の株式及びその他の資産(通常は現金)を受け取ることになる。一見、営業譲渡と同じようであるが、営業譲渡では、資産負債を譲した会社が、当然には消滅せず、いわゆるペーパーカンパニーとして残ることになる。

通常の合併の結果として、合併消滅会社は、合併存続会社から対価として取得した株式及びその他資産(通常は現金)を所有することとなり、解散により合併消滅会社の株主に、残余財産の分配という手続きをとることになる。

この場合における、時価による対価の存在により、通常合併消滅会社に移連損益(移転利益のことが多い)が発生し、これが課税対象となる。

以上が原則ではあるが、合併が同一グループ内での企業組織再編として行われる場合や発展性が見込まれる共同事業を会社合併により整理するといった場合にまで移転損益(通常は利益)を発生させ、課税するといったことは、健全な企業組織再編を阻害することになりかねない。そこで適格合併という考え方ができてくる。

次の様子合併すなわち @企業グループ内の合併 A共同事業を営むための合併 に関しては合併消滅会社の資産・負債を帳簿価額で移転し、合併存続会社は、合併消滅会社の資産・負債を帳簿価額で受けることができる。これを適格合併という。また一般の合併(非適格合併)では、合併存続会社は、合併消滅会社の利益積立金を引き継げないが、@ Aのような適格合併では利益積立金を引き継ぐことができる。

つまり適格合併では、合併消滅会社を何らの損益発生も伴わずにそのまま合併存続会社に移転できることになる。

 

適格合併の要件

細かい解説まで入れると大変複雑になるので、ごく基本の一般的な形にまとめて表示する。

 

matsudarepo

適格と判定された場合の合併

適格合併と判定された場合の会社合併の税務処理の特徴は、次のとおりです。

@ 合併存続会社は合併消滅会社の資産および負債を、合併消滅会社の最後事業年度末の税務上の帳簿価額で引き継ぎます。したがって、合併消滅会社において合併に伴う資産および負債の移転に伴う譲渡損益が生じることはありません。

A 減価償却、引当金、準備金または税額控除等については、原則として、合併消滅会社から合併存続会社への移行において、合併がなかった場合と同様の処理がなされるような制度上の仕組みが施されています。

B 合併消滅会社の利益積立金額はそのまま合併存続会社に引き継がれます。したがって、合併消滅会社の株主にみなし配当が生ずることはありません。

C 合併消滅会社に繰越欠損金の額がある場合は、合併存続会社はこれを引き継ぎます。ただし、繰越欠損金の引き継ぎを利用した租税回避行為を防止するために、特定の場合について、青色欠損金の引継制限または使用制限が図られています。

D 合併消滅会社の株主に株式の譲渡損益は生じません。

E 合併対価が合併存続会社の株式であるときは、合併存続会社が有する合併消滅会社の株式(抱合せ株式)の帳簿価額を合併存続会社の資本金等の額から減額するものとされています。

知らなきゃ損する 遺産の話 〜他人事ではないあなたの話〜

s1.jpg突然の父の死! 
気になるあなたの遺産相続額は?


親族の死・・・
悲しいことですがそれは突然訪れます。
悲しみにくれる中不謹慎かもしれませんが、気になるのはやっぱり遺産の相続でしょうか?

このコラムでは、ある家族をモデルにした遺産の相続をできるだけ分かりやすくお話しています。

登場人物の一人をあなたに置き換えてお読み下さい。・・・・・

父の財産は?

今回死亡した父・太郎には次のような財産がありました。
一、 不動産(妻と居住中)
土地 2,000万円
建物 1,000万円
二、 負債  3,000万円
三、 預金  4,500万円

それでは、各家族の遺産相続額はどれくらいになるのか計算してみましょう。



s2.jpg法定相続

現行の相続法では、特に遺言がない場合、今回のケースのように相続人が配偶者と子供である場合には、法定相続分により配偶者の相続分が2分の1、残りの2分の1が子どもの相続分とされています。

(民法900条1号本文) 今回の家族の場合は、2男1女の3人の子供がおり、子供の相続分は原則として平等であるため、各子供の相続分は2分の1×3で、6分の1になります。

つまり、母・花子は父の財産の2分の1を、長男・一郎と次男・二郎、長女の和子はそれぞれ6分の1を相続できることになります。
しかし、次男・二郎は平成13年にすでに死亡しており、被相続人の父・太郎より先に亡くなっています。

そのため、次男の子供(父から見れば孫ですね)が次男に代わって相続することになります。

これを代襲相続(民法887条第2項)と言います。

この時の次男・二郎の子供たかしとたかこの相続分は、二郎の受けるべきであったものに限られますので(民法901条第1項)、それぞれ二郎の相続分である6分の1を2分の1とした、12分の1になります。

原則として、上記相続分の割合で遺産の分割がなされるのでプラスの遺産総額が7500万円なので、妻花子は3750万円、子の一郎と和子は1250万円、孫のたかしとたかこは62 5万円相当の相続がなされます。
また、負債についても同様の割合で相続されます。
 
遺産分割協議

前頁のように民法で法定相続割合の規定が定められているが、相続人の間で協議し、どのような割合で分割するかを決められます。またその遺産分割協議の時期については特に制限はありません。
ただし相続税の申告は10ヶ月以内、順確定申告は4ヶ月ですのでご注意下さい。

しかし、時間が経過するほど遺産が散逸したり、遺産の管理費用がかかったりするなどの問題が生じる可能性があります。

また、相続人にさらに相続が生じたり、当事者が孫の子までになったりして協議が整いにくくなることもあります。

したがって、紛争を未然に防止し、権利関係を早期に安定させる意味からも、相続開始後なるべく早い時期に遺産分割協議を行うべきであると思われます。

遺産分割協議においては、相続人各自が取得する実際の相続分と前述した法定相続分とが一致しなくとも有効です。尚、負債については第三者的に主張できるかは別問題ですのでご注意下さい。

遺産分割は相続人の間での協議によりますので、相続人各自が自由に意思決定できます。

例えば、子供の一人が形見分け程度でいいという意思を持っているのなら、その意思は尊重されるべきであり、各相続人の間で協議が整えば、法定相続分と異なる割合での遺産分割協議が有効となります。
遺産分割協議が整った場合には、遺産分割協議書を作成しておきましょう。

遺産分割協議書には特別な方式というものはありませんが、後日の紛争を避けるためにも、相続人全員の署名、押印しておくべきです。遺産分割協議書の作成については専門家にご相談すれば安心です。

なお、今回の太郎さん家族の件においては、遺産として不動産がありますので、相続登記をするためには遺産分割協議書が是非とも必要になります。

また、相続人の間で協議が整わない時は、各相続人は家庭裁判所に遺産分割の調停、審判の申し立てをすることができます。(民法907条2項)。

調停手続きは、最高裁判所により任命された民間人の家事調停委員(2名以上)と家事審判官(裁判官1名)により構成された調停委員会が各相続人の間に立って、各当事者の譲歩を前提にして話し合いを行い、遺産分割の合意を目指そうとするものです。
第三者が話し合いの仲立ちをすることにより、各相続人だけで話し合いを行うより、より合意に達しやすいと言えるでしょう。
そこで遺産分割の合意ができると、調停調書が作成されます。

この記載は確定判決、確定審判と同一の効力がありますので(家事審判法21条)これによって不動産の相続登記や強制執行が可能となります。

家事審判手続きは、調停委員が間に入り相互の譲歩により話し合いで解決できないときに、家事審判官(裁判官)が、後見的な立場から遺産の種類、性質、各相続人の年齢、職業、心身の状況及び生活の状況、その他の一切の事情を考慮し、妥当な遺産分割の判断をなすもので、一種の裁判です。

この審判に不服がある場合には高等裁判所に抗告による不服申し立てが可能です。

今回の太郎さん家族の件では、遺産である不動産に母親が居住していますので、母親が相続することになる可能性が高いと言えましょう。

なお、この審判では原則として法定相続分に従った分割がなされますので、特別な事情がない限り、相続人の一人だけが遺産を多く取得することはありません。

不動産の評価について

遺産の評価については、預金等であれば問題になりにくいのですが、不動産などではその評価額でもめることがあります。

例えば、今回の太郎さんの家は土地の相続税の路線価から算定した価額が2000万円(50坪)、建物の固定資産税の評価額を1000万円として遺産相続分を算出してきました。

また、土地建物とも、太郎さん本人が所有者であり、妻と居住していることをもとにしています。
しかし、実際には不動産にはさまざまな状況が伴うことが多々あります。

例えば、土地が鉄道から3mの距離にあり、騒音が特にひどかったりする場合、この地域で鉄道の騒音がそれほどひどくない土地も路線価が同じであれば、この路線価は鉄道の騒音を考慮していないことが考えられます。

その場合には、所轄の税務署に行って事情を説明し、協議してください。

それでも納得できない場合は、不動産鑑定評価書を税務署に提出すると理解してもらえる場合もあります。

例えばこのようなケースでは土地の相続税の評価額2000万円が、1800万円になる可能性もあるということです。

また、土地は一つとして同じものがありませんので、相続税の評価にあたっては、その土地の個性率を算定するために諸々の補正率表というものがあります

例えば、奥行価格補正率表・側方路線影響加算率表・地積区分表・不整形地補正率表・がけ地補正率表などがあり、相続の対象となる個々の土地の価額を算定できるようになっています。

 

路線価

実はこの路線価は不動産鑑定士が、毎年税務署の依頼を受けて1月1日時点の価格付けをしてます。

路線価は全ての道路についているものではなく、市街化区域を中心に一部市街化調整区域や非線引都市計画区域にもあり、インターネットで調べることができます。

単位は千円/uで、地価公示ベース価格の8割が路線価になります。

すなわち、その路線に標準地があったとすればいくらになるかを考えて、その価格付けをまずしてから、その価格の8割を路線価とするわけです。

ちなみに、固定資産税の評価額は、原則として地価公示ベース価格の7割となっています。
また、倍率方式になっている地域が多いのですが、これは固定資産税の評価額がベースになります。

何倍になるのかは、評価倍率表がありますので管轄税務署に問い合わせてください

一般の遺産分割において路線価と実勢価額の間に極端な差がある場合があるので第三者の公正な評価として不動産鑑定評価書を作成することをおすすめいたします。

* 不動産鑑定士は土地・建物の完全所有権の評価のほか、区分所有権(マンション)の評価や借地権・底地の評価、新規賃料・継続賃料の地代・家賃の評価などを行っています。

最近は、不動産投資家のために5年とか10年間の賃貸を想定し、その後売却することを想定した収益還元法の一手法としてディスカウント・キャッシュ・フロー法による算定が注目されています。


遺産相続は、さまざまな状況や条件により各専門分野の知識が必要となります。
我々士業ドットコムでは、弁護士・司法書士・社会保険労務士・税理士・公認会計士・不動産鑑定士で構成されており様々な問題に多角的な手段をもって解決にあたっています。

知らなきゃ損する 遺言の話 〜他人事ではないあなたの話〜

1) 遺言とはなにか

1.死亡した場合に自分の財産をどのように処分するかなどを決めることを遺言といいます。
遺言を書面に書いたものが遺言書です。

2.この場合、死亡した方を被相続人、死亡した方の財産を相続財産といいます。
したがって、遺言とは、被相続人が相続財産の相続方法などを指定する行為であるということになります。

2) どのような場合に遺言をするか

1.遺言がない場合、相続財産は法定相続分に従って相続され、具体的に誰が何を相続するかは相続人が協議して決めることになります(遺産分割協議)。
また、相続人がいない場合には原則として国のものになります。したがって、あなたが相続財産を特定の相続人に相続させる等相続の方法を決めたければ、遺言をする必要があります。

2.具体的には、たとえば以下のようなケースが考えられます。

@ 相続人のうちの一人が相続財産に居住したり、生業を営んでいるので、居住財産や営業用の財産をその者に相続させたい。
A 相続権のない親族が相続財産に居住したり、生業を営んでいるので、居住財産や営業用の財産をその者に取得させたい。
B 兄弟姉妹が相続人で、相続人間での遺産分割協議が困難である。
C 相続財産が多く、相続人間での遺産分割協議が困難である。
D 相続人どうしが不仲で遺産分割をめぐって争いになる可能性が高い。
E 特定の相続人に家業を手伝ってもらったり看護してもらうなど特別の援助を受けているので、その者の相続分を増やしたい。
F 第三者(内縁関係にある者など)に相続財産を取得させたい。
G 生前認知できなかった子供に相続させたい。

3) 遺言でなにを決めることができるのか

1..相続人間での遺産分割の方法を決めることができます。具体的に取得する相続財産を指定することもできます。
相続分(相続できる割合)を決めたり特定の相続人に全財産を相続させることもできます。特定の者に遺産分割方法を一任することもできます。
但し、後述するような遺留分を侵害する遺言は効力がなくなる場合があります。

2.相続人以外の第三者に財産を遺贈することもできます。但し、不倫な関係にある女性に対する包括遺贈など公序良俗に反する遺贈は無効とされます。

3.被相続人に対して虐待をし、もしくは重大な侮辱をくわえたときか、その他著しい非行があったときに、相続権を失わせることもできます。(相続の廃除)

4.遺言執行者を選任し、遺言の内容を実現してもらうこともできます。

5.遺言で認知することもできます。但し、生前にできなかったことを遺言でやってしまうのですから、相続人間で紛争になることは当然予想されます。感情的な対立はもちろん、法律的な紛争(認知無効確認請求訴訟等)に発展することもありえます。

4) 遺言の内容を決めるにあたって留意すべきこと

1.遺言は被相続人の最終の意思を尊重する制度です。
従って、その意思が思慮深く適切なものであれば遺族にとってたいへん有益なものになります。他方、その意思が適切でなかった場合、遺族にはトラブルのもととなり、遺恨だけが残ることもあります。
2.よって、遺言をする場合には、自分の一時的な気持ちだけで決めることなく、遺族間の関係などにも十分配慮した内容にする必要があります。軽はずみな遺言はお勧めできません。

5) 遺言はどのように作成すればよいか

1..遺言は民法の定める方式で行う必要があります。
遺言は書面で行う必要がありますが、通常は自筆遺言証書か公正証書遺言証書を作成することになります。

2..自筆遺言証書は自筆で作成する遺言書です。
日付・氏名の自書と押印が必要で訂正方法も定められていますが、それ以外に方式の制限はありません。手軽に作ることができますが、内容がきちんとした遺言書にするのであれば当然一定の書き方が必要になります(内容について自信がない方は専門家に相談すべきでしょう)。
また、作成時点の意思確認ができませんので、被相続人が本当に作成したものかどうか・被相続人に判断能力があったのかどうかなどが問題になります。また、遺言書をきちんと保管しておかないと失くしてしまうこともあります。

3.これに対し、公正証書遺言は公証役場で公証人に遺言意思や遺言内容を確認してもらい作成してもらう遺言書です。したがって、公正証書遺言の場合、遺言意思や遺言内容には通常問題はありません(痴呆の場合などはそれでも争いになります)。
また、公正証書遺言の原本は公証役場が二十年間保存してくれます。
なお、公正証書遺言の場合には後述する検認手続きも不要です。

6) 遺言書を探す


1..自筆証書遺言の場合、保管場所に制約はありません。
貸金庫・仏壇等にしまってある場合もあれば、相続人や弁護士等に預けてある場合もあります。

2.公正証書遺言の場合、公証役場で検索して探してもらうことができます。

7) 遺言書が見つかったら

1.封印のある遺言書が出てきた場合、開封せずに直ちに家庭裁判所での遺言書の検認手続きをする必要があります。
検認手続きとは裁判官が遺言書の形式や状態などを確認するものです。

2.遺言を偽造・変造・破棄・隠匿すると相続権がなくなります。
また、遺言書の提出を怠ったり検認手続きを受けずに封印のある遺言書を開封すると5万円以下の過料に処せられます

8) 遺留分とはなにか

1.遺言で自由に財産を処分することができますが、法律上法定相続人のために一定の割合の権利が認められています。それが遺留分です。

2..遺留分は法廷相続分の2分の1です。
例えば、相続人が子供2人だけであれば、法廷相続分は各2分の1ですので、遺留分は各4分の1(1│2×1│2)です。
但し、兄弟姉妹には遺留分はありません。
また、本来相続人であった場合でも相続権を失った場合(相続欠格事由に該当する場合を廃除された場合)にも遺留分はありません。

3.遺言書を作成するときには、この遺留分を侵害していないかについて念頭におかないと、後々紛争になる可能性があります。

4.遺留分権利者が自分の遺留分を主張するには、自分の遺留分を侵害している相続人等に対し、遺留分に基づく減殺の請求をする必要があります。減殺請求は相続開始および減殺すべき贈与・遺贈があったことを知った日から一年(または相続開始から十年)内に行う必要があります。

3.知らなきゃ損する 成年後見の話 〜他人事ではないあなたの話〜

成年後見制度ってどんなとき役立つの?

T 成年後見制度とは

判断能力が衰えた人の財産や権利を守るためにある制度です。
成年後見制度は、大きく分けて二つあります。
以下の法定後見制度と任意後見制度です。

1「法定後見制度」

判断能力が既に衰えてきている人が対象で、本人の残った能力の程度で3つの類型にわけられます。
@「補助」
重要な財産行為(リフォーム工事や高額な羽毛布団の購入等)について、自分で出来るかもしれないが、誰かに代わって貰ったほうがよい程度の人を支援する制度です。
A「保佐」
日常の買い物程度は出来るが、重要な財産行為は自分で出来ない程度の人を支援する制度です。
B「後見」
日常的に必要な買い物も自分では出きず、誰かに代わって貰う必要があり、ごく日常的な事項(家族の名前、自分の居場所、生年月日など)もわからないような程度の人を支援する制度です。

2「任意後見制度」
本人が元気で判断能力のある人が対象で、将来、判断能力が低下してきたときのために、支援を任せる後見人と支援内容を決めておくものです。

U 前述の制度は消費者トラブルからお年寄りを守る制度です

例えば、日中家にいる可能性の高い高齢者が狙われやすいのが、訪問販売や電話での勧誘です。
時間のある高齢者は、セールスマンの話に乗りやすい傾向にあります。

言葉巧みに不安(シロアリ被害・耐震性・健康不安・経済不安等)をあおる。
同情を引く
自尊心をあおる等


の悪質業者の術中にはまりやすいです。

悪質業者は、高額なものを買わせようとしたり、危険な取引に引き込もうと狙っており、孤独になりがちな高齢者は、親切なふりをして近づいてくるセールスマンに、やさしく話し相手になってもらったりすると、断りづらくなり、ついつい契約してしまうことがあります。

被害にあった後で、お金を取り戻すことは困難な場合が多いので、判断能力の程度に応じ、成年後見制度(代理権・同意権・取消権の活用)を利用して財産管理を任せ、取消し等の対応をすれば、お年寄りを守ることになります。

判断能力のある人は、任意後見契約が有用です。

任意後見契約は、家庭裁判所で任意後見監督人が選任されてはじめて効力を生じるので、それまでは任意代理契約・財産管理契約や見守り契約で対応できます。

但し、任意代理契約は、よほど信頼できる人でないと危険がともなうことがあります。

高齢者と日常的に接している身近な方々(隣近所・親戚・民生委員・ケアマネージャー・ヘルパー等)が変化に気づき相談機関につなぐという一番見つけやすい方法です。
要支援等認定を受け、かかわりを持つものを増やすことが必要です。
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。